第2話 返礼品はおれ
おわり
第2話「返礼品はおれ」
あらすじ・制度のポイント・台本を読む
第2話「返礼品はおれ」三割の壁(サーティー・パーセント・ウォール)
梨ヶ坂のふるさと納税は梨頼みで、寄付が入るのは収穫期の二ヶ月だけ。上位の自治体は一年で百億円以上――そう聞いたテツは、総務省の告示を徹夜で読み込み、返礼品の抜け道を探しはじめる。
この話の制度・豆知識
- ふるさと納税の返礼品には国の基準があります。返礼品の調達費用は寄付額の3割以下で、その地域でつくられた「地場産品」でなければなりません。
- 「地場産品」には、市内で主要な部分を製造・加工していれば認められる、という考え方があります。この「抜け道」を各自治体が工夫して使い、国(総務省)が基準を見直す、という綱引きが続いてきました。
梨ヶ坂市は架空の市です。制度は実在のものを紹介していますが、運用は自治体ごとに異なります。
台本(セリフ全文)
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係室。
2ページ
ふるさと納税の実績表よ!
梨ヶ坂の返礼品は、梨に頼りきりで……
寄付が入るのは、収穫期の八月と九月だけ!
残り十ヶ月、ほぼゼロじゃないですか!?
近隣市にも、大差をつけられてるのよ!!
3ページ
梨の季節以外の寄付を増やせば、この係の大手柄よ!!
おれの給料は増えねーし〜
テツさん、それ、よその市のふるさと納税ですよね
カニ三キロ、ポチッとな〜
職員が、よその市に寄付してどうすんのよ!!
よそに寄付されるほど、梨ヶ坂の住民税は減るのよ!!
ランキング上位の自治体は、一年で百億円以上集めてますね
……ひゃく……おく……?
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返礼品を作れば手数料が入る!!
寄付は市の歳入よ!職員のあなたに取り分はない!!
もう聞いてないし!!
ぐふふ……手数料……
5ページ
小僧、梨ヶ坂の新しい返礼品を考えるぞ!!
時給分だけですよ
それ全部、梨ヶ坂で作ってないですよね
返礼品は地元の産品に限るって、国の決まりがあります
梨ヶ坂で作ってるモンなんて……梨、梨、梨ばっかじゃねーか!!
決まりがあるなら……抜け道も、必ずある!!
……嫌な予感しかしないわ
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夜を徹して、テツは総務省の告示を読み込んだ。
調達費は、寄付額の三割以下……。
返礼品は、地場産品に限る。
……ただし!?
市内で……主要な加工を行えば……!!
これだァーッ!!
7ページ
ここなら十分だァ!!
テツが、市内の空き倉庫を借りた。
よそから仕入れた品を運び込む。
ここでやるのは袋詰めだけだ。
それだけっすか?
梨以外の返礼品が、次々に登録された。
寄付は、梨の季節だけでなく、通年で入り始めた。
袋詰めは歩合だ。やった分だけ払う!
そういう話なら、やりますッ!!
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三割の中から仕入れ値を払ったら、ほとんど残らねえ!!
市内で受ける体験も、地場産品になる……
仕入れゼロの返礼品……おれだ!!
見出しは『絶対定時に帰る方法』
疲れた会社員に刺さりますよ
あっそうだ。せっかくなので、職員であることも書いておこう
どうせ誰も来ねーよ……
掲載初日の申し込みは0件。テツはふて寝した。
え?どういうこと?
定時帰り必達!
その夜、見出しが全国に拡散した。
テツ!! この人たち、全員あなたの返礼待ち!?
一日体験まだー!?
そして、体験当日。
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源田さん。少々、お時間よろしいでしょうか
返礼品でしたら、返品もできますね
ひぎゃあああッ!!
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夏以外の寄付は実際に伸びていた。
倉庫は正規の事業者に引き継がれ、返礼品は通年で並ぶようになる。
テツの取り分は全額、市の歳入に消える。
一日体験の申し込み、八百四十二件。全国へ発送します
課長ォ!! これは返礼品じゃないですよォォ!!
市内で袋詰めしたんだから、立派な地場産品ね
一日三件ずつ回ってください。来年度も、よろしくお願いしますね
この作品はフィクションです。梨ヶ坂市は架空の市で、実在の人物・団体・自治体・制度の運用とは関係ありません。自治体の公式な作品ではありません。
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